「猫の恩返し」は2002年公開のスタジオ・ジブリ制作のアニメ映画です。
しかし「猫の恩返し」と検索してみると「ジブリじゃない」という言葉がでてきました。
いったいどういうことなのでしょうか?
気になったので今回は、
猫の恩返しは本当にジブリ映画?
「猫の恩返し」は本当にスタジオジブリが制作した映画です。
しかしスタジオ・ジブリ制作と知っているけど「ジブリではない」と「認めない」という人もいれば、「ジブリじゃない」と誤解している人もいるようです。
「猫の恩返し」は、1989年制作の「耳をすませば」の主人公月島雫が書いた物語ということで、ジブリにはめずらしくスピンオフ作品となっています。
ただし制作までのいきさつがいろいろあり、宮崎駿氏が監督をしたのではなく、新人の森田宏幸氏が監督を勤めました。
スタジオ・ジブリにとあるテーマパークのイメージキャラクターとショートフィルムの依頼がありました。
テーマパークからの依頼は
ということだったそうです。
そこでプロデューサーの鈴木敏夫氏が宮崎駿氏に相談するとその時はノリノリで
と宮崎駿氏はおっしゃったそうです。
そして柊あおいさんが「バロン 猫の男爵」の物語を描いてきます。これは宮崎駿氏が想定していのとは違ってかなりしっかりした長い物語でした。
しかしこの時点でテーマパークの話はなくなってしまいました。
しかしせっかく柊あおいさんが作った物語をそのままにするのはもったいないと「ごちゃごちゃしているうちに」長編映画を制作することになっていたそうです。
しかしその時宮崎駿氏らジブリの中心は「千と千尋の神隠し」を製作中でとても「猫の恩返し」を作る余裕はなく、アニメーターの森田宏幸氏を新人監督として抜擢、そしてジブリでは異例の外注をたくさんつかって制作されました。
話を聞くとけっこう成り行きですね。
宮崎駿氏がもし監督をしていたらと思うとそれはそれですごそうですが、そんな成り行きで企画がボツにならずに制作されたというのも幸せですし、柊あおいさんの原作の世界が魅力的だったからかなと思います。
猫の恩返しがジブリじゃないと言われる理由とは
猫の恩返しがジブリじゃないと言われるのは以下のような理由があるのではないかと思います。
監督やスタッフがジブリ映画の人じゃない
「猫の恩返し」は前述したように監督を新人の森田宏幸氏を起用しました。
森田宏幸氏はジブリで「ホーホケキョとなりの山田くん」で作画を担当、ジブリ美術館の単品作品「コロの大冒険」の原画を担当しています。
宮崎駿氏は新人を大抜擢してチャンスを与えてあげたかったようです。
しかし最初は映画ではなくシリーズものにしようかという話だったようですが、森田宏幸監督はとても真面目に取り組んで素晴らしい絵コンテを描きました。
それを見た鈴木敏夫プロデューサーが宮崎駿氏に談判して映画化が決定したという経緯があります。
ただし前述したようにジブリは「千と千尋の神隠し」でいっぱいいっぱいだったために、外部のアニメスタジオに外注したのも多かったようです。
ということで「猫の恩返し」は宮崎駿も高畑勲もジブリスタッフもあまり関わっていないため、ジブリっぽくないと言われわけです。
作画が違うので拒否感がある
前述したようにジブリ作品は宮崎駿氏が絵コンテを担当し、ジブリのスタッフが制作にあたります。
しかし「猫の恩返し」は森田宏幸監督が原作の漫画の柊あおい氏の絵をそのまま生かした作画です。
そのためジブリ作品とは違った作風になっています。
作品のできた経緯をみると仕方がないことのようですが、ジブリ原理主義ともいえるジブリファンにとっては「猫の恩返し」はジブリじゃないということになります。
主人公の女子高生が成長しないなどメッセージ性やドラマ性が弱い
作画だけでなく脚本や世界観も宮崎駿氏のジブリ作品とは異なっています。
主人公の女子高生「吉岡ハル」のキャラクターは、芯が強く正義感が強いジブリ作品の主人公の女の子たちと比較すると普通ぽく、流されやすく、浅はかな感じがします。
絵柄も宮崎駿氏の女の子キャラクター明らかに違っています。
そして主人公は物語の最初と最後でたいして成長をしません。
ジブリ作品の女の子は、最初と最後では物語の中の様々な出来事を通して成長をします。
しかし森田宏幸監督は「女子高生は簡単に成長しない」という持論も持っており、飛躍的成長は不要としてハルのキャラを作りました。
主人公のハルは猫の国に行って帰るだけの主人公で巻き込まれ型の物語ですが、猫の国で主体的に何かをするわけではありません。
ジブリ作品は強いヒロインが印象的で、アニメの天才な宮崎駿氏の力わざを感じます。
「猫の恩返し」は主人公のキャラクターや世界観が異なるのがジブリじゃないと言われる理由です。
猫の恩返しは上映時間が短い
猫の恩返しの上映時間は短く75分です。
これは当時は同時上映もあったからです。
ジブリのアニメと比較するとかなり短い作品なので少し物足りない感じがします。
猫の恩返しがジブリじゃないという単純な思い込みや誤解
そして調べてみるとかなりの数の人が「猫の恩返し」はジブリじゃないと誤解していることがわかりました。
ジブリじゃないと思い込んでいる人がかなりいるようですね。
猫の恩返しに対するジブリファンの評価は?
「猫の恩返し」に対する評価はかなりはっきり別れています。
猫の恩返しを「ジブリ作品と認めない」という人もいればジブリっぽくないところが「一番好き」という人もいるようです。
代表的な意見を挙げてみます。
猫の恩返しの悪い評価
ジブリ映画の主人公のキャラって美男美女だけど、猫の恩返しは主人公が極端にブスで見る気なくす。アニメキャラ全体の中でもブスすぎる。猫は好きだけど。
ヒロインが見応えがない。登場人物のキャラも単純でわかりやすい。ストーリーが淡白。
子どもと見るおとぎ話としてはいいが個人的には物足りない。
ジブリワースト1。
これが面白いという人は他のジブリはどれも面白いだろう。
これだけは見返そうと思わない。
やはりストーリーやキャラが物足りない点や主人公などの作画がイマイチな点が悪い評価になっているようですね。
猫の恩返しの良い評価
悪い評価は多少あるものの猫の恩返しが好きという方はとてもたくさんいました。
どうやらジブリらしくない気楽さややさしい雰囲気が好きな方が多いようです。
猫の恩返しはジブリで一番好き
ジブリ作品は苦手だけど猫の恩返しは気楽に楽しめます。
疲れていても重くなくて、ながら見できて面白い
やさしい空気感がすき。とても引き込まれた。
大人も子供も楽しめて、キャラクターが魅力的
幼児も見れるし大人も苦痛でない。
長くなくてテンポが早く楽しめるのでリピしてる。
まとめ
「猫の恩返し」はジブリの制作した映画ですが、監督やスタッフが宮崎駿氏や高畑勲氏といったジブリの人とは違うため、絵やキャラクター、ストーリーなどジブリらしくないアニメとなっています。
しかし「耳をすませば」の劇中劇のようなスピンオフ作品でもありジブリ作品であることは確かです。
作品の評価もジブリらしくない点が悪い評価となり「ジブリじゃない」と認めない人や、そもそもジブリと思ってなかった人もいるようです。
しかしジブリの壮大な物語や強いヒロイン像よりも気楽に子どもと楽しめ作品だとジブリらしくないところが一番のお気に入りという方も多数いて、ジブリの中でもそれなりにファンの多い作品となっています。